2024年度作品『紲和』
題材
『一夜の松原伝説』
日本三大松原の一つである福井県敦賀市に群生する「気比の松原」。
気比の松原にはこんな言い伝えが残っています。
『外国から異族の大船団が来襲した。そのとき、一夜にして松林が出現し、氣比神宮の神の使いである白鷺が、松の頂に多数とまった。これを見た異族は、大軍勢の旗指し物とみて、恐れをなして、逃げていったという』
私たちはこの伝説をモチーフに、一人ひとりは小さくても団結すれば大きな力となり、どんな困難をも打ち破ることができることができる、そんな思いを演舞で表現します。
紲(きずな) - 人と人との断ち切れない繋がり
和(なぎ) - 互いに相手を大切にし。協力し合う関係にあること
みんなで一つになって団結する、切れない繋がり、どんな方向性の人ともつながることを大切にするよっしゃこいを表しています。
―歌詞―
【1部】
色めく 空晴れ渡り 芽吹く生命に 想いを馳せて
風立ち 若葉微笑み 千代木の響き 繁華へ駆ける
煌めく 真白の神羽 翔け舞い上がり 日々照らしゆく
高鳴る 鼓動揺れるは 気比の運命よ
―にぎわう街並みを
朝日が照す―
紲よ 和ぐ 一夜の物語
きずな つな
これは、古から松原の地に伝わる一夜の物語。福井県敦賀市の松原という所に、一つの村があった。賑やかな毎日に人々の笑顔が溢れ、今日も平和な一日が始まった...
はずだった。
さあ、一夜の松原伝説の結末とは--
― 波が嵐を呼ぶ ―
―黒き影が姿を現す―
空を闇が染め始め、冷たい風が肌をなでる。
高波が襲い、暗雲が立ち込み心に重くのしかかる
活気とした雰囲気は一変し雷鳴が轟く
一抹の不安を覚え始めた頃
黒き影がゆっくりと、でも着実に近づいてくる
"何か"が姿を現したとき不安は絶望に変わる
―帆をたため 錨を下ろせ
略奪の時だ―
姿を現した異族の大船団は浜に降り立つ
団員達は新しい獲物に落ち着きがない
"すべてを奪え" 船長の合図が響き渡る
その瞬間、魔の手が一斉に襲いかかる
情けは無用だ
―清かに導く 白鷺の舞―
この地を導き咲き誇る
松原の地が絶望に満ちたその瞬間
希望の光が差し込む。
海辺に数千の松が突如として群生し
数多の白鷺が飛来した。
異族は船団は幾千軍団が現れたと思い
勝ち目なしとして撤退した。
【3部】
月夜に謳い 染めゆく この地を導き
咲き誇る 千歳に織りなす 想い
刹那に舞い 今宵に輝く 荒波越え 天地結ぶ
―長い夜が明ける
さぁ歩みだそう―
脅威を追い払い、長きにわたった夜が終わる。朝日が昇り平和で賑やかな日常が返ってきた。団結することでどんな困難も乗り越えられる希望と、自分たちの力を信じて未来へと強く突き進んでいく。
【お歌】
今声を出せ 滾る 想いを
出会えたキセキ 繋ぎ 遥か彼方へ
仲間と共に 夢の舞台へ
【4部】
あかねさし 希望の光
笑み燈す継ぎし願いを胸に 突き進め全てを懸けて
踊れ 歌え 叫べ紡ぎゆく
紲を 刻み永遠となれ 皆の 心一つに 届け未来へ
新しいことに挑戦し本気で挑んできた
そこには困難も多くあるが
共に歩んだ仲間と乗り越えた先
いつか夢に見た場所に手が届くかもしれない
一瞬の輝きを胸に抱き 未来へと――